Download - SHIMADZU APPLICATION NEWS...(面積%) Impurity1 Impurity2 Ofloxacin Impurity3 i-DReC なし 0.04 0.358 99.545 0.057 i-DReC あり 0.016 0.147 99.813 0.024 従来法 0.017 0.153

Transcript
Page 1: SHIMADZU APPLICATION NEWS...(面積%) Impurity1 Impurity2 Ofloxacin Impurity3 i-DReC なし 0.04 0.358 99.545 0.057 i-DReC あり 0.016 0.147 99.813 0.024 従来法 0.017 0.153

フォトダイオードアレイ検出器の新しいデータ解析法で

あるダイナミックレンジ拡張計算機能 i -DReC(Intelligent

Dynamic Range Extension Calculator) を 用 い れ ば, 検 出

器の信号が飽和する高濃度領域でも,スペクトルの相似性を

利用して,ピーク面積/高さを計算することが可能です。今

回は i -DReC の原理説明と,本機能を適用した医薬品成分に

含まれる不純物の面積百分率による分析例をご紹介します。

Y. Watabe

高濃度な試料の分析を行った場合,ピークがスケールアウ

トしてしまい,ピークの正しい面積値が得られないことがあ

ります。i -DReC では,吸収の小さな波長でクロマトグラム

を切り出して求めたピーク面積(高さ)に,ピークの裾野で

切り出したスペクトルから計算した感度係数をかけることに

より,対象ピークの面積(高さ)を求めます。処理の手順は

以下です。

1. ダイナミックレンジを超えた補正対象ピークの溶出領域

でのスペクトルを取得します。

2. このスペクトルについて,設定波長であるλ a の長波長側

または短波長側で,強度値がダイナミックレンジ内とな

る補正波長λ b を自動的に探索します。

3. 補正波長λ b でクロマトグラムを切り出し,波形処理を実

行します。そして,このクロマトグラム中で,補正対象ピー

クに対応したピークを特定します。このピークの「ピー

ク面積・ピーク高さ」を補正用データとします。

4. スケールアウトした対象ピークの後半部分で,強度値が

「感度補正スペクトル抽出強度」となる時間のスペクトル

を自動抽出し,このスペクトルの波長λ a の強度 Ia と補

正波長λ b の強度 Ib の比(感度係数)k を求めます。

k = Ia/Ib

5. 3. で得られたクロマトグラムのピーク面積(高さ)に感

度係数(k)を乗じて,対象ピークの面積(高さ)を自動

算定します。

ピーク面積=(補正波長のピーク面積)× k

ピーク高さ=(補正波長のピーク高さ)× k

この機能を用いることにより,Fig. 2 のように,高濃度成

分の直線性を補正することが可能です。

■ i-DReC の基本原理Fundamental Principle of i -DReC Function

Fig. 1 i -DReC の基本原理Fundamental Principle of i -DReC

Fig. 2 i -DReC による検量線補正Linearity Correction by i -DReC

感度補正スペクトル抽出強度

mAU

λ

Ib

Ia

補正波長λbでクロマトグラムを切り出す

0

4000mAU

波長λa

しきい値波長λb

波長λb

波長λa

感度係数=Ia/Ib

スペクトルの波長λaの強度Iaと補正波長λbの強度Ibの比から感度係数を求める

感度補正

スペクトル

ピークの裾野から感度補正スペクトルを切り出す

0 2.5 5 7.5濃度(g/L)

0

20

40

60

面積(×106)面積(×106)

10 0 2.5 5 7.5濃度(g/L)

100

100

200

ApplicationNews

No.L451フォトダイオードアレイ検出器の新機能i -DReC (Intelligent Dynamic Range Extension Calculator) の不純物分析への応用i -PDeA (Intelligent Dynamic Range Extension Calculator), A New Function of Photodiode Array Detector; An Application for Impurity Analysis.

高速液体クロマトグラフィーHigh Performance Liquid Chromatography

LAAN-A-LC157

Page 2: SHIMADZU APPLICATION NEWS...(面積%) Impurity1 Impurity2 Ofloxacin Impurity3 i-DReC なし 0.04 0.358 99.545 0.057 i-DReC あり 0.016 0.147 99.813 0.024 従来法 0.017 0.153

分析計測事業部グローバルアプリケーション開発センター

※本資料は発行時の情報に基づいて作成されており、予告なく改訂することがあります。 改訂版は下記の会員制 Web Solutions Navigator で閲覧できます。

 https://solutions.shimadzu.co.jp/solnavi/solnavi.htm

会員制情報サービス「Shim-Solutions Club」にご登録ください。https://solutions.shimadzu.co.jp/会員制Webの閲覧だけでなく、いろいろな情報サービスが受けられます。

0120-131691(075)813-1691

島津コールセンター

ApplicationNews

No.

3100-06302-560-IK2013.6

初版発行:2013年6月

■不純物分析への応用Application for Impurity Analysis

1

0.0 2.5 5.0 7.5 min

0

100

200

300

400

500

600

mAU

■Peak1. Ofloxacin

12

3

4

■Peaks1. Impurity12. Impurity23. Ofloxacin4. Impurity3

0.0 2.5 5.0 7.5 min

0

1000

2000

3000

4000

mAU

■Peaks1. Impurity12. Impurity23. Ofloxacin4. Impurity3

1 4

32

3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 min

0

10

20

30

40

50

60

mAU

Table 1 分析条件Analytical Conditions

HPLC System : Nexera X2Column : Shim-pack XR-ODS (75 mmL. × 3.0 mm I.D., 2.2 µm)Mobile Phase : As described in Japanese Pharmacopoeia Flow Rate : 0.5 mL/minColumn Temp. : 40 °CInjection Vol. : 2 µLDetection : SPD-M30A at 294 nm, response 0.24 sec,

sampling rate 240 msec.Flow Cell : Standard

Fig. 3 適正濃度オフロキサシンのクロマトグラムChromatogram of Ofloxacin at Appropriate Concentration

Fig. 5 高濃度オフロキサシンのクロマトグラム(拡大)Magnified Chromatogram of Ofloxacin at High Concentration

Fig. 4 高濃度オフロキサシンのクロマトグラムChromatogram of Ofloxacin at High Concentration

Table 2 各法による不純物含有率計算結果比較Comparison of Impurity contents with/without i -DReC function

医薬品等の不純物分析に関して,主成分に対して 0.1 % 程

度あるいはそれ以下の存在比の微量不純物は通常,信頼性確

保のため,以下のような手順で 2 回あるいはそれ以上の分析

に基づいて計算されます。

1. 主ピークの高さが,検出器の直線性が充分確保できる範囲

内(通常 1 AU 以下)になるような濃度に標準溶液を調製

して分析を行う。

2. 微量不純物が安定的に検出可能な高濃度の試料溶液を準

備し分析を行う。この場合,主ピークは検出器のダイナ

ミックレンジをスケールアウトすることが多い。

3. 1. 2. の間の濃度比(希釈率)で 2. の不純物ピークの面積

を除して 1. の状態での不純物ピークの面積を算出する。

4. こうして計算上得られた不純物面積と 1. の主ピーク面積

の総和から新たに面積百分率による不純物含有率を決定

する。

しかしながら,この作業では濃度の異なる溶液で最低限 2

度分析を行うことになります。この計算作業を一度の分析で

可能にするのが i -DReC 機能です。本機能を用いた分析では,

医薬品に含まれる微量不純物の濃度に合わせた高濃度試料を

分析するだけで妥当な不純物含有率の計算が可能です。以下

にニューキノロン系の感染症治療薬であるオフロキサシン中

の i -DReC 機能を用いた不純物含有率決定の例を示します。

ま ず, オ フ ロ キ サ シ ン 200 mg/L の 溶 液 2 uL を Nexera

X2 シ ス テ ム で 分 析 し ま す。 ピ ー ク 頂 上 の 吸 光 度 は 約

650 mAU 程度で十分検出器に直線性の範囲内にあると思わ

れます。

次に 10 g/L の高濃度オフロキサシンのクロマトグラムと

その部分拡大したものを示します。微量不純物の面積値,存

在比率を安定的に得るため,オフロキサシンの濃度が過大に

なり,ピークがスケールアウトしています。

スケールアウトしたクロマトグラムに i -DReC 機能を適用

し,主ピークのダイナミックレンジを拡張して得られた面積

値から計算した不純物含有率と従来法により得られた結果の

比較を以下のテーブルに示します。i -DReC の適用によって

従来法と同等の結果が半減した分析回数で得られることがわ

かります。

(面積 %) Impurity1 Impurity2 Ofloxacin Impurity3

i -DReC なし 0.04 0.358 99.545 0.057

i -DReC あり 0.016 0.147 99.813 0.024

従来法 0.017 0.153 99.731 0.025

L451


Top Related