日本化学雑誌 第81巻 第4号 - JST
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日 本 化 学 雑 誌 第81巻 第4号
1960年4月
ポル フ ィリン環状 化合物の電子構造 と電 子 スペ グ トル(第1報)
最 も単純 な分子軌道法 によるポル フ ィン分子 の取 り扱 い
(昭 和34年2月2・ 訂受 理)
小 林 宏†
ポル フィ リン分 子 の申心 部 には4個 の窒 素原 子が あ るが,ポ ル フ ィ リンの π電 子 系 を分子軌 道 法 で取 り扱 う際,そ の電 気 陰性度パラメーター δαN(一 δ〃β)はか な り任 意 に と られ て きた。 ここで は プ ロ トタイ プの ポル フ ィンにっ い て,δNを0.0か ら1。5の
範囲内でか え・分 子軌道 法 の計算 をお こな ってみ た。軌道 エネル ギー,転 移 エ ネル ギ ー,π 電 子密 度,π 結 合次 数,自 由原子 鶴
フロンテ ィア電子 密度 な ど・ この分子 の π電子 系 に関す る諸量 が 求 め られ,δNに 対 す る依 存性 も明 らか に な った。
接触作 用 と関連 して この分 子 の反 応 性 は重要 であ るが,求 核 試薬 は ピロール核 を結 びつ け て い るメ チ ン橋 を攻 撃 しや す く,求 電
子および ラジ カル試薬 は申心 部 の窒素 原子 か メチ ン橋 を攻 撃 しやす い ことが わか った。結 合付 加反 応 は外 側 の二 重結 合 性 の大 きい
部分で起 る ことにな る・δ〃 を うま くえ らぷ と(δ 〃二〇.9)実 測 と うま くあ うよ うに,各 吸収 帯 を各1電 子 励起配 置へ の電 子 転移に帰 属 させ る ことが で きる。 しか しエネル ギー的 に接近 した 励起 配 置 には,同 じ 対 称 性(Eの の ものが た くさん あ るか ら,そ れらのまざ り合 い は無視 す る ことが で きな い。配 置間 相互作 用 の電子 転移 に対 す る影響 に つい て も簡単 に論 じた。
1緒0言
ポルフ ィン分 子 の π電 子 系 に 対 す る 分子 軌道 法 に よる 計 算は
Lo簸guet-HigginsらDに よって始 め られた。 中心部 の4個 の窒素
原子の電気陰 性度 パ ラ メー ターを無視 して計算 をお こない,δ ε二
浮 僻2δαNと い う 関係2)で δαNを1・0β と して 軌 道 エ ネルギーを補正 してい る
。 しか しその ときの協 同研究 者 の1人Platt3)
は後にこれ をf iに あ らた め,吸 収 スペ ク トル を説 明 してい る。
Malow4)は 中心 部 でお こるN-H…N互 変 異性 と吸 収 スペ ク トル
の関係を論 じたが ,電 気 陰性 度 パ ラ メ0タ ーを直接永 年 方程 式 に
くりこみ・>N-13の δκ には0.8β を>Nに はLOβ を あたえ
ている5)*㌔Seely6)も ポル フ ィンの外側 の二 重結 合 に水 素が付加
した 誘導体 につ いて 単 純分 子軌 道法 で計 算 をお こな ったが1 1
を1・0β と してい る。上 の計 算 の結 果 は,そ れ ぞれ の著者 が 引用
してい るスペ ク トルの実 測値 とよ く一 致 してい るが,著 者 によ っ
てデータの解 析の しか たが こ とな り,ス ペ ク トルの帰 属 もこれ に
ともな って こ とな って い る。 したが って実測 と計 算が みか け上_
致していて も用い られ た近似 の正 しさを示 す こ とにはな らな い。
まして δαNの 選択 の正 しさにつ いて は何 もい うことが で きな い。
その取 り扱い がすべ て最 も単 純 な分子軌 道法 で あ り,こ れ によ っ
て電子スペ 外 ル につ き限界 を こえた議 論 をす る こ とは危 険 であ .1東 京工業大学無機化学教室,東 京都目黒区大岡山i) H. C. Longuet-Higgins, C. W. Rector , J. R. Platt, J. Chem.
:Phys. 18, 1174 (1950). 2) C. A . Coulson, H. C. Longuet-Higgins , Proc. Roy. Soc. 191A, 39
(1947). 3) J. R. Platt, A. Hollaender 61, " Radiation Biology " Vol . III,
Chap. 2, p. 71 (1956) New York . 4) S. L. Malow, J. Chem. Phys . 23, 673 (1955). 5) G. W. Wheland, J. Am. Chem . Soc. 84, 900 (1942).
毒畷 近 では一般 に>N-Hの 方が 〉
.Nよ りも 晦 漱 きい もの と さ楓 、
る・た とえばL・ E・ Orgel・ T・ L・ C・ttrell, W. Dick, L. E. Sutt。n, Trans、 Farada Sec. 4711
る。わ れわ れ は電子 スペ ク トル につ い て も っ と厳密 な計 算 を始 め
る にさ き立 ち,こ れ までか な り任 意 に きめ られ て きた 中心部 窒 素
原子 の陰性 度 パ ラ メー ターが,ボ ル フ ィン分子 の π電 子 状態 に ど
の よ うに影 響 す るか を しらべ るた め,最 も単 純 な分子 軌 道法 を 用
い δαNを0.0~1.5β の範 囲 内 でか えて計 算 を お こな っ てみ た。
そ の結 果 か らポル フ ィン分 子 の電子 構造 と電子 スペ ク トル につ い
て考察 してみ る ことにす る◎
2計 算の原理と仮定
ポル フ ィン分 子 を構 成 してい る原 子 の2ρ 。軌 道 φ三,…uの10次 結合 で分 子軌 道 を近似 す るbψ
一Σ0ゆ,ポ ル フ ィ ン分子 がP赫ゲ
の対 称 性 を もつ とす れ ばお のお のの2ρ4軌 道 は1)41:の 可約 表現
几 の基 底 で あ り,rκ は簡 約 され て
17κ一4/42躍十3B2謀 十2A1欝 十3」Bユm十6」E8
と既 約 表現 の組 であ らわ され る。各原 子 軌道 が規 格 直交 す るもの
と仮 定 すれ ば,各 既 約 表現 に属 す る分 子 軌道 とそ のエ ネル ギ ーは
つ ぎの永年 方程 式 に よって与 え られ る1)7)◎
こ こで
(α・一 ε)6,+Σ β。、c、-08キ7
必一∫螂dち 熊 ∫螂dτ
(1)
6) G . R. Seely, J. Chem. Phys. 27 , 125 (1957).
すべ て の炭 素原 子 に対 して αrを 等 し く と り,α と仮定 した ◎ 中
心部 窒素原 子 に対 して は これ を αNと と り一・つ の パ ラ メ_タ'一一.と
した ◎βノ・は原子YとSが 結 合 してい る場 合の み と り,他 は すべ
て0と した◎ すべ て のCCお よびCN結 合 に対 して 等 し くβ と
仮定 した ◎上 の αと βに よ って αNを あ らわ す と αN一 α+t i
とな る◎ こ こでは δNを0.0~1。5の 範 囲 でか え て計 算 をお こな
った ◎
7)た とえ ば東 ・馬 場 ・"量 子 有機 化学'・P 。55(1956)朝 醜 店.
520 日 本 化 学 雑 誌 第81巻 第4号(1960) (2)
3計 算 結 果
δNを0.0か ら1.5ま でか えて 永年 方程 式を 解 き,つ ぎの分
子 物理 量 を算 出 した。.
1.π 電 子 の軌 道 エネル ギ ー8(図1お よび 表1)
2.基 底状 態 にお け る π電子 密度4ア(-2Σc72)と π結 合次
数 ρ7ε(-2Σo/oε)(図3,4お よび 表2,3)
3・ 求 電 子反応,求 核 反応 お よび ラジ カル 反応 に対 す るフ0ン
テ ィア電子密 度8)戸 ・fNお よび ∫R(図5 '6・7お よび表4,
5,6)
へh繕 《勤
一2船嚇
一a2♂3}
Ai u cり
ご羅,鰯三◎・-Q一 騨'
o己 犠《魏
%《a》
一 レ毫犠{0}
一 わ2♂1,
~. ,《り
一◎嫌穏
{メ 、
し1準ω
e昏 《ら》
α2ゆ}
α"{り
eを 《3》
b墓"ω
α+β α2幽
e}ω
b澗"《Q
李2β
eをω
α2犠ω
b2"ω
05LO
δN
図1軌 道 エ ネル ギー
ホ
1.8
14
L◎
図2ポ ル フ イン分 子 の骨格
σOα5し0し5
δ押
図3π 電 子 密 度
表1軌 道 エ ネ ル ギ ー ε
δ1>,0.0δ ハz=0.5δ1v冨1ヤ 蓼0
み た され た軌 道
σ2μ α α十 〇.2265β α十〇.3820β
α十〇.7729β α十 〇。8583β α十1.0000β
α十2。3914β α十2。4854β α十2.6180β
ゐ2銘
σ魏
0ユ駕
88・
α+0。6180β
α二+2.000Pβ
α十〇.6180β
α十1.6180β
α十〇.6180β
a十1。1899β
α十2.2562β
α十 〇。8175β α十1。0000β
α十2。1229β α十2.3028β
α十 〇.6180β α十〇.6180β
α十1,6180β0十1。6180β
α+0.8110β α+1.0000β
α十1.1977β0十1。2197β
α十2.3535β α十2.4955β
低 エ ネ ル ギ ー の 空 い た 軌 道
西翅 α一〇。6180β. ! . :1'
.,α 一〇.3565β α一〇.2773β
δノv;1.5
α十 〇.4672β
α十1.1766β
α十2。8030β
α十1.1468β
α十2.5500β
α十 〇.6180β
α十1.6180β
α十1.1161β
α十1、2948β
α十2。6973β
α一 〇.6180β α 一 〇.6180β
α一 〇.2197β α 一 〇.1788β
08
契 α60
04
QO 05
δN
1.0
図4π 結 合 次 数
し5
8)福 井,米 沢,永 田,新 宮,ノ.C加 欝.Pんyε.22,1433(1954).
(3) 小林:ポ ル フ ィ リン環状化 合物 の電子 構造 と電 子 ス ペ ク トル(第1報) 521
4.自 由原 子 価 ・F7(-1>孟ax一 Σ ρ,・)9)た だ しす べ て の 原 子 にヨ
っい て1V益ax=ゾ す と した*2(図8お よ び 表7)。
の
¢2
43
421
表2π 電子 密度
r 1。0
1。085
1.075
0.966
1.223
J f.5
1.057
1.008
0.952
1.419
9ノ
δ2v二1.0
1.薩032
0。961
0.945
1.570
δ2v甥1。5
1.011
0.930
0。941
1.678
20010.785
1-20.472
2030.575
Z-210.580
注 σ)C-CはCoulsonIo)の 方 法 に よ っ た.Cox,Jeffrey12)の
指 摘 す る よ う にC-C/C-N=1.05,C=CJC=N =1.05だ
か ら,Cou1SQnの 方 法 で ρ露 か ら4戴 を求 め,
4戴/4鰹1・05に よ っ て4腎 を 算 出 し た.
表3π 結 合 次 数 ρダ3と 原 子 間 距 離 の47s
δハ1コ0.0δ ハ1=0.5δ1v=1。0δ ハ7=1。5
.ρグ、4,、(A)ρ.、4レ 、(A)』 ρ7s4,ε(A)メ 》。、4,S(A)
1.3650.7701.3650.7531.370.7361.37
1.4550.4981.440.5221.mO。5431. 425
1◎4150.5821.410.5891。410.5951.40昏
1。3450。5421。360.4921.380癖4401.40
瑞 瓠
\
σ3
02
璃蝋
、
σ3
0.2
0」
茜、
α005LOl5
δ揮
図5求 電 子反 応 に対す る フロン テ ィア電 子密度
≧瓠\
03
02
0」
/
0」
QOO.5しOし5
δ1v
図7ラ ジ カ ル 反 応 に 対 す る フ0ン テ ィ ア電 子 密 度
1.0
05
i1α5LOl5
δN
図8自 由 原 子 価
表4求 電子 反応 に対 す るフ ロ ンテ ィア電子 密度
∫ぞ
ノダ
∫『
∫薮
δ1v=0.0
0.0000
0.0000
0.2500
0。2500
δハ丁漏=0.5δw=1趨0
0.00620.0290
0.00360.0110
0.28500.3038
0.19540.1160
表5求 核 反応 に対 す る フ ロン テ ィア電 子 密度
バノダ
矧
躍
δ1ザ鵠0.0
0。0700
0.0312
0.2068
0.0907
δ」"V=0◎5δ ハOe1侮0
0。07370.0778
0.04540.0580
0.19420.1802
0.06780嘩0483
∫ダ
δ1v孟1.5
0.0566
0。0160
0.2944
0。0602
ノN T
δ1v腰1.5
0.0814
0.0674
0.1680
0.0344
α00、51.Ol、5
δ1v
図6求 核 反 応 に対 す る フ ロ ン テ ィ ア 電 子 密 度
9)た とえば東 漏 場・"量 子有機化学・・P.99(1956)朝 倉酷.*2中 心部の窒素府 のN飯 の定義のしかたは
いろいろ獣 られるがここでは炭素原子のそれ と簿 しくおいた.
10) C. A. Coulson, Proc. Roy . Soc. 207A, 91 (1951); C. A . Coulson, R. Daudel, J. M. Robertson , Proc. Roy. Soc. 207A, 306 (1951).
11) E. G. Cox, G. 13. Jeffrey. Proc . Roy. Soc. 207A, 110 (1951) .
522 日 本 化 学i雑i誌 第81巻 第4号(1960)
表6ラ ジ カル反 応 に対す るフ ロン テ ィア電子 密度
δ1>=0.O
fR 1、0.0350
ノ 雷 0.0156
ノ 嘉0.22840
ノ 蚕0。1703悉
δN-0.5
0.03995
0.0245
0.2396
0。1316
δN=1。0
0.0534
0。0345
0.2420
0.,r a
表7自 由原子 価F7
δ2v=・0、O
F10.475
F20.105
F310.582
jF21(0.572)
δハr=0.5δ ハ1訓190
0.4640。457
0。1100.129
0.5680.554
(0.648)(0.748)
4考
4.1電 子構 造 と反応 性
察
ノタ
δ1v=1。5
0.0690
0.0417
0。2312
0.0473
δN=1.5
0.453
0.154
0.542
(0。852)
分子 軌道 は24個 の2ρ 羅原 子 軌道か ら組 立 て られ てい るが,低
エネル ギ ーの分子 軌 道 に26個 の π電子 が入 ってい る(図1)。 中
心 部ζ あ る窒素原子 の形式荷 電 は π電子 系 の電子状 態 ばか りでは
な く,中 心金 属原子 との結合 によ って も変 わ る。+2価 の金 属 イ
オ ンと 一112価 の窒素 配位子 との 間 に 配位結 合 を生 じた とき,
Pauling12)のsc電 気的 中性 の原 理"が 一応 み た され てい るとすれ
ば,配 位結 合 によ って金 属 イ オンも窒 素 配位子 もほ とん ど中性 と
な り,形 式荷電 を もた ない こ とにな る*3。 した が ってす べ て πの
電 子 を と りのぞ いた 分子骨 格 は窒素 の原子 芯 が+L5a炭 素 の原
子 芯が+1。0の 荷電 を もってい るこ とにな る。結 合状 態 にお ける
窒 素原 子は ピmル とピ リジンの 中間型 の電子 配置*4を と り,炭
素 原子 は ベ ンゼ ンや ナ フ タ リンのそ れ と同様 の配置 を とってい る
もの と考 え られ る。窒 素原 子の原 子 芯が炭 素璽 それ に くらべ て大
きな核荷 電 を もってい るこ とは前 にのべた とお りだが,原 子 価電
子 に よる遮蔽 も不十 分 な ので 。(陰性摩 が 大 きい の で),窒 素 の原
子 芯の ポテ ンシ ァル場 は炭 素 に くらべ てか な り強 くな るはず で あ
る◎ そ の差 に対 応 す るエ ネル ギ,.一.パラ メーターが δNと い うこと
が で きる◎ しか し δN-0・0と 、して も921-1・223と な り21の 位
置 は π電子 が局在 化 しやす い。 これ は ポル フィ ン分子 の幾 何学的
形 態 に由来 す る もの であ る。δNを 増 す と421は か な り急激 に増
加 す るが δN<0.75で は92ズ は1.5よ り小 さ く δN>0.75に な
っては じめ て1・5を こえ る よ うにな る。¢2三が増 せば,こ の原 子
上 にお け る電子 間1の反 パ ツエ ネル ギ ーを増 すか ら δNは 無 制 限 に
大 き くなる こ とは で きない 。 δNの 変化 によって窒 素原子 以 外 の
π電子 密度 は それ ほ ど大 き な変 化 を示 さない し,大 きな形 式荷 電
を生 じるとい うこと もない。σ1は1.011~1.085で,δ 揮 の値 の
と りか た によ ってあ ま り変化 しない し,内 側 の共 役 系か ら外側 の
結合 系 に流 出 してい る π電子 が少 ない こと もわか る。
ポル フ ィンの 分子 構 造 はまだ 決 定 され ていな い。 ここで 計 算
した ρ・・か ら原 肴 聞距 離 を 求 め ると20-1は1.37A,1-2は
1。42~1., t i2-3は1.40~L42A,2-21は1.34~1.40Aと な
(4)
12) L. Pauling, " Contrib. etude structure mol." Vol. Commem . Victor Henri 48, 1 (1947).
*3配 位 結合 で窒素 配位子 か ら金 属 イオ ンに むか ってな され る``¢ha∬3etra薫s・
fex "の 度 合は中心 金属 イオ ンの種類 に よって ことなるが,そ の ために おこ
る π 電子 系の変 化は 伽 の変化 に ともな う オ電 子系 の変化 として理 解す る
こ とが で きる.``chargeiransfer "力 母大 きい場 合 には窒素 原子 の陰性 度
は増 し,し たが ってmは 大 きくなる、 ,,.*4ポ ル フ ィン{tri)3・5♪ 。L・ ピ リジ:/侮)・ ρノ ピmル(tri)・ ρノ
る・外側 の結 合20-1は 短 く・エチ レンの1・34Aに 近い。結合1
驚2は か な り長 くな ってお り・ 二 重結 合性が 乏 しくな っているO
Robertsonユ3)に よ るフ タロシ アニ ンのX線 解析 の結果 によれば,
外側のべン㌣ 核はベンゼンの織 距寓 ・39Aを 保存しており,
内側 の共 役 系 とベンギ ン核 とを結 びっ けてい る結合 は1 ; 1と
長 くな り・二 重結 合性 に乏 しい もの にな ってい る。一方 フタロシ
アニ ンの分子軌 道法 によ る計 算結 果はX線 解析 の結 果 とよ い一致
を示 してお り・上 の事 実 も よ く反映 してい た*%し たが って分子軌
恥道法 の計 算結 果は よ く原 子間 距離 を予言 で き るもの と考 え られる
か ら・δNが こ こで とった 範 囲 にあれば上 でえ られ たポルフィン
命 子 の結合 距離 は正 しい もの とな ろ うρ π電子 系は相互作用が比
較的小 さい と考 え られ る外 側 の二重結 合 と内側 の共役 系にわ けて
考 え られ る◎外側 の二 重結 合は分 子 内 でも保 存 され てお りy内 側
の共役 系か ら流 れ出 してい る π電 子 は少な く,内 側 の共役系 と外
側 の二 重結 合 を結 びっ けてい る結 合 も長 くな ってい る。一方 内側
の共役 系は ほ とん ど18個(17.32~17・91)の π電 子 によって占
め られ てい る◎
ポル フ ィンの反応 性 はそ の接触作 用 との関連 で興味 ある問題で
ある・接 触作用 には中心 金属原 子 とπ電子 系 とが と もに関係 して
い て・そ れぞれ の役 割 りを もってい る◎ ここでは計算 の性質上問
題 を π電子 系だ け に限定 して考 察す る。 イ オン性置換 反応に対す
るCoulson,L◎nguet-Higginsの 考 却6)に よる と,求 電子試薬
は π電 子密 度9・ お よび 自己分極 率 π,,の 大 きい位 置 に作用 し,
求 核試 薬 は 争 が小 さ くiπ プ,の大 きい 位 置 に 作 用す る。の は
21が 最 大 で3ま たは2が 最小 であ る。 これ か ら 判 断す ると,求
電子 試薬 が ポル フ ィン分子 に近 づい た と きには21に 作用 し,求
核試 薬 な らば3ま たは2に 作用 す る ことにな る。一方 フ ロンティ
ア電子 密度 は3が 最大 で,求 核,求 電 子反 応 とも3で お こ りやす
い こ とにな る。 求核反 応 につい ては二 つ の考 え方 が 同 じ結論 を与
え てい るが,求 電子反 応 につい ては異 な った予言 を している。そ
れ は π7プを考 慮 しなか った ためか も しれな い。 こ こでは 銑t'は
計 算 しなか ったが,フ ロンテ ィア 電子 密度 の 大 きい ところでは
π揮 は大 き くな るか ら,π γア幡3が 最 大 であ ろ う。9ア の大 きい21
のほか に π鐸 め大 きい3も 反 応 しやす いの だ とい うことに もな
るのか も しれ ない ・ しか し 軸 が増加 す る と伽 は急激 に増 しf
2善 の反応性 は圧 倒的 に 強 くな るはず で あ る。 フ ロンテ ィア電子
13)J.MR◎berts◎ 訟,J.Cherh.SaeO1936 ,1195.*5L◎nguet-Higginsら がポルフィンに適用した分子執道理論 をフタ0シ
アニンに拡張する.伽 コα0としたときの含εが求められiこれからd rs
361を 算出することができる・その結果はt ` ,としたにもかかわらず実測と
図9フ タロシアニン分子骨格
非常によい対応をしめしているO
drs(A)ρ78
1-360639
1-20665
2-306Q8
3-340555
3-4041⑪
4-50587
4-370,588
計 算値 実 測値
ユ391、39
139ユ39
14Q139
ユ42139
ユm149
135134
1.351.34
(昭和27年,日 本化学会錯塩討論会)Pcxllmanら14)も 同じ方法で軌道エ
ネルギーと分子図を求め報告している0そ の結果はわれわれの結果と一致し
ているが,電 子スペクトルに対する電子転移の帰属をまちがえている、これ
については続報で論 じるOBasu15>も 計算しているが 初めに群論の適用を
あやまったため,結 果は討論の役に立たないものになっている.
14) A. Pullman, G. Berthier, Compt. rend. 236, 1494 (1953). 15) S. Basu, Indian J. Phys. 37, 511 (1954). 16) C. A. Coulson, H. C. Longuet-Higgins, Proc. Roy. Soc. 102.A,
16 (1947).
(5) 小林:ポ ル フィ リン環 状化合 物 の電 子構 造 と電 子 ス ペ ク トル(第1報) 523
密度 ノタは ほ とん ど3と21に 存 在 して い るが,δNの 増加 とと
もに ∫君 は急激 に減 少 して しま うか ら3の 方 が圧 倒的 に反応 し
やすい ことにな る・ ポル フ ィン分 子 の よ うな 多電子 系 に対 す る求
電子反応にお い て・ 最 も高 い`cみ た された 軌道"の 電 子 だけが フ
ロンテ ィア電子 であ りうるか ど うかは 疑問 で あ る。全 部 の π電子
で反応性 を論 じるか,ご く反応 しやす い π電 子 だ けで反応性 を論
じるか はそれ 自体 議 論 の余地 をの こ してい るが,と くに多電子 系
では どの電子 が ご く反 応 しやす い のか を指定 す る ことが むつか し
くなって くる◎ しか しいず れ にせ よ求電子 試 薬は3ま た は21を
攻撃す るこ とは た しか で あ ろ う。 ラ ジカル反 応は 自由原子 価 が大
きい位 置 でお こる と 考 え られ るか ら21,3ま た は1が 反応 しや
すいこ とにな る。 フ ロンテ ィア 電 子密 度 ノタは3と21が 大 き
くfそ こが反 応性 に とんで い る ことにな る。窒 素の1>翫x=ゾ 冨
としたの で ・F21の大 き さには議 論す べ き点が の こされ てい るが,
娠 を増 した場 合F2三 は さらに増加 し,∫ 窮 は減 少 して しま う。
求電子 反応の場 合 と同様,全 部 の π電子 で論 じ るか,ご く動 きや
すい π電 子で論 じるか で結論 がか わ って くるよ うで あ る。二っ の
考え方 で結 論 は反対 にな るが,そ れで もラ ジカル 反応 は3お よび
21が 受 けやす い こ とは た しか で あ る◎ 結合 付加 反応 は ρ、、の大
きいところでお こるが,ポ ル フ ィンで は二 重結合 性 の強い20-1
におこる ことが 予想 され る。実 際水 素分 子が 付加 す るの は この位
置である◎
4.2電 子 スペ ク トル 、,
最 も高い``み た された 軌道"は α2郡(3)で,こ れ に α掬(1>,
,`(3),δ2露(2),α 鋤(2)な どが これ にっ つい てい る(図1)。 最 低
の空軌道は69(4)で あ り,biu(2)が そ の上 に ある。 これ らの軌
道の間には α2蕗(3)→θ8(4),atu(1)→ θ8(4)i∂2〆2)一 ナ8g〈4),
a2tt(2)→69(4),68(3)→ う1露(2)な どの1電 子 転 移が 許容 され る。
ボルフィンの 励 起が この よ うな1電 子 転移 で 近似 され る とすれ
ば・励起 エネル ギ0は 関係 したごつ の軌道 の エ ネルギ0差 として
求められ る◎そ の結果 は図10お よび表8に 示 した とお りで,β
を単位 としてあ らわ され る。 これ らの1電 子 転 移は全 電子 系 の状
態についてみ るといずれ も 磁1ぎ→1E露 とい う転 移で あ るか ら,
鴛
1.5(3
lPβ
G5β
h"ω 一レe駐 輔
e3(3}→ レhu《 η
α綱 一『e豊`4}
b2♂・》→e告(4)
α蝋 ・ゆe3(今 ⊃
α 鷲")やe昏 働
QOQsl.Ol5
δ1v
図101電 子 転移 で生 じる励起状態
表81電 子 転 移 の エ ネ ル ギr
δ1>=0.0δ ハr二 〇.5δ.《1藁=0。8δ 」v=1.0δ 」v=・1轡5
α盆纒(3)→6g(4)0.36β
α1κ(1)→68(4)0.97β
ゐ2鉱(2)一→88(4>0・97β
α2麓(2)→6g(4)1.13β
88(3)→ ゐ1銘(2)1。24β
∂1潔(1)→6g(4)1.97β
6g(2)e→ ∂脇(2)1。81β
Loβ
α5β,
σ0β
0。50β0,57β
0.90β0。86β
1.09β1。17β
1.14β1.18β
1。43β1.55β
1簿90β1。86β
1.82β1.83β
0.60β0。65β
0.84β0.80β
1.22β1。33β
1.22β1。36β
1.62β1。73β
1.84β1.80β
1。84β1櫛91β
辱ρ
離鯛騨劇騨鳳醐ゆの〆〆 〆
奪■■騨
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奪
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轟
し0
養}
δ遅
図11最 低 の励起 状態
各 電 子 配 置 は た が い に 相 互 作 用 を 生 じ,ま ざ り合 っ て し ま う 。 最
長 波 長 部 の 吸 収 帯 に帰 属 させ られ る電 子 転 移 に よ っ て 生 じた 励 起
状 態 は 大 部 分 Ψ1(E誕(1),α20(3)→ θg(4)),Ψ2(彦 ・(2),α1u(1)→
68(4)),%f… … な ど低 エ ネ ル ギ ー の1電 子 励 起 配 置 に よ っ て
配 述 さ れ る ◎ 最 長 波 長 部 の 電 子 転 移 に よ る励 起 状 態 が 一 応 凱 と
%と だ け で 記 述 さ れ る とす れ ば,二 つ の 励 起 状 態 処(Eu(1)),
弓グ2(Eκ(2))撃 ま
雪ρ「1-71(E忽(1))cosθ 一望2(E%(2))sinθ ,
Ψ2一 蟹1(E。(1))sinθ 十 璽ア黎(Eκ(1))cosθ
そ の 転 移 工 率 ル ギ ー 瓦,E2は
瓦 一 渥 一~/醸+(塀 一 万 一 」,
老2一 万+~/E蓬+(JE)2F亙+」
と な る ◎ こ こ で
2曾二 〔E巳1(E。(1))十 」璽2(E匡π(2))]/2
JE端 嵩一[Eエ(E臨 駕(1))一 亙2(亙 露(2))]/2
酢 漁1(E・(・)). i(E翼(・))dτ
恥 露2(E・(2))H〃2(E・(・))dτ
H-H,∫ ノ+H「 母H,〃+Σ 」盛一
ηノ
ニつ の励 起状 態 の分裂 の大 きさ は配 置間 相互 作 用 の大 き さ 島2と
E露(1)・Eu(2)の エ ネル ギ ー差 」Eに よ って きま る.単 純 分 子軌
道法 の計 聡 果 に よれば ・ 恥 δ睦 力》え て もあ ま り大 き く変化
しな い評 均 して約0・71β で あ る.Eコ2も 認 も δ遅 の関 数 と
考 え られ るがElaの 大 き さ とEガ ヨ万 の大 き さにつ い て は こ こ
で馳 扱榎 かったがもしE・2撫 視できるほど小さい場 合に
は 盈儲島・E2衛現 となり・単一の励起配置で励起状態を記述す
524 日 本 化 学 雑 誌 第81巻 第4号(1960)
るこ とが で き る◎JEよ りE1鑑 の方 が十 分大 きい場 合 には分 裂の
大 きさ はE12に よって きま る ことにな る。 δNが 増 す と 施 は
ノ1、さ くは な るが,・ 凹に くらべ て非常 に小 さい とは いえ ない。 た と
え ば δ押=1・0で は躍 譜0.71β,JE』0.12β とな る。E1=彦 一4,
.」E2=遡+4と おい て実測 め 吸収 スペ ク トルの*0か ら 亙,4を 評価
しみ よ う。第 一吸 収帯 は16100cm顯1,第 二吸収 帯(Soret帯)は
23700cm一 ユにあ るか らE-19900cm-1,」=3800cm織 とな
る。」野一〇・71β とお き βを求 め る と β詔28000cm-1と な る。 」
は これ を単位 とす る と0・14β となる。 したが って 」 の大部 分が
JEに よ って占 め られ て しま うことにな るα従来 しば しば配 置間
相互 作 用 を無 視 し,単 一 の電 子励 起配 置だ けで吸 収帯 を説 明す る
こころみが な されて きた1弊)6)。それ は上 のよ うな事情 で計算 と実
測 が偶 然一 致 した もので あ ろ う。砺 を適 当 にえ らべ ば 単一 の電
子励 起 配置 だ けで近似 して,従 来 え られた もの よ りもっ と数 値的
に実測 と一 致 させ る こと もで き るφN-0.9)。 しか し その 伽 が
どん な物理 的な意 味 を もってい るか は も う少 し計 算 を進 め てみな
い となん と もい えな い。現 実 には 」の うちで配置 間相互 作用E12
の占 めてい る部分 は決 して無 視 で きないはず で,粗 い 近似 でE
が 」 の大 部分 を 占めたか らとい って ・E12が非常 に小 さい とい う
こ とは で きない。 配置 間相互 作用 は Ψ1と 偽 の 間の もの しか考
*6Seely6)の データによれば亜鉛テトラフェニルポルフィンは第一吸収帯が620颯μ,第二吸収帯が422鯨 μにピ0クを示している.金属塩でないとN-H…N互 変異性や分子の変形によって電子スペクトルが複雑化してしま
う.分子構造の対称性がよくiほとんど1)4hと みなせる金属誘導体をえらんだ0
(6)
えなか…う喪 か現実 には 望3・望4…… な どの寄与 も無視 することは
で きな い。 これ らを考 慮 した場 合0ご つ の転移 エ ネル ギーはごく
粗 くつ ぎの よ うに近似 され る◎り のげ のレ る0
E1'鐸 島 一潅轟{(E・ 潅)霊/(Eλ一Eユ)}嵩(E-∠)一 δ・一 面L4・
り ヒ ゆ ゐ ロコ
」E2'儲 」ε2一
λ混2{(E2濃)a/(」Eヨ 」匡一E2)}=(E+∠ 」)0δ 諺一 」醒藤+4,
こ こで
ゑ弐一∫蜘dち 彦2λ一∫蜘 えとち
__11刃 」E一 至「(δ・+δ露)・ ∠』 ∠-7(t t)
り0り
とな る・δbδ 驚は ともに正 で あ り・(Eλ一βユ)〉(恥 一E2)だ から
E1為E2λ が 同 じ くらい の大 きさ とす れば δ二くδ實とな る。 したが
ってE'<瓦d'<4と な る こ とが予想 され る。互 と0を 実測
と対 応 させ た ときとま った く同 じよ うに 瓦 「嵩19900cm一 ユ,」」
3800cm需1と な る◎ もち ろんEfはE(儲0.71β)よ り小 さいか
ら,β は前 に求 めた の よ り大 き くな るはずで あ る。 また ガ は0
よ りい く らか小 さい はずだか ら 」 は3800cm一 糞よ りも大 きくは
な るだ ろ うが,こ の うちでE12の 占め る大 きさ は ここまでの計
算で はな ん ともいえな い。
終 りに本研 究 を行 な うに あた り終 始御 指導 い ただいた東京工業
大 学 の稲村 耕雄教 授 に深 く感 謝す る。 また協 同研究 者であ る鳥居
泰 男氏 や物理 化学 教室 の田中 郁三博 士,森 雄 次氏 には有益な討
論や教示 を うけ た。併記 して感 謝 の意を表す る。
吸 着 過 程 の 確 率 論 的 考 察
(昭 和34年3月9日 受 理)
石 田 健 二†
単分 子層 吸着一離脱過 程 を時間 的に い ちよ うなMark◎v過 程 として取 り扱 うな らば,・・平 均値 にお いて・・かつ 吸着分 子 と気相申
の分 子 との相 関 をのぞ いて普 通 の決定論 的 な吸着速 度式 あ るい は平 衡吸着 式が 得 られ る。 ま た この過程 に対 す る確率微分 方程式を
解 いて吸 着分 子数 に関す る確 率分 布 は二 項分 布 にな る ことを示 し,平 衡状 態 にお ける吸着分 子数 の くゆらぎ 〉 と熱力学 的関数 と
の 関係 を求 め る◎ 多分 子層吸 着一離脱過程 に対 して も同様 の方 法 を用 いてB.E.T。 吸着式が 導 かれ る こ とを示 す 。
1緒 言(Langmuir吸 着式について)
単分 子層 吸着 一離脱 過程 につ い てLangrnuirz」 が用 いた と同 じ
仮驚 に した が って吸着 媒表 面の 吸着点 は物理 的 に同等 で あ り,各
吸 着点 には1分 子 しか 収容 で きず,か つ吸着 分子 間 には相互 作用
もない ような 体 系 につい ての吸着 一離 脱過 程を考 え る。 この体系
は温度 お よび 外部 パ ラ メー ターが 一定 で あ り,普 通 の化 学反 応速
度 論 におい て 用 い られ て い ると同様 に 全過 程 を 通 じて 混度 平衡
(thermal equilibrium)2)に あ る もの とす る。 この よ うな条件 の
も とでは,時 間 間隔(0,の に吸着 された 分 子数 を 鵡 ⑦ で表
わ すな らば,す べ ての任 意 の しか も固 定 され た値 ∫>0に 対 して
鑑 の は確 率変 数 であ り,非 負 の整数 しか と り得 ず,ま た 実験的 に
知 られ てい る よ うに'が 増大 す る ととも に決 して減 少 しない 。t
† 東京工業大学,東 京都目黒区大岡山
1) I. Langmuir, J. Am. Chem. Soc. 40, 1361 (1918) .2)堀 内,殿 村,66化 学反応 の統 計力学 η,P.94(1950)三 共出版.
が変 わ る と 魏(の は時 間 のパ ラ メーター 彦を もつ確 率変数 の集合
{鑑 ⑦}と な り,こ れ は確 率過程 であ る。 また吸着 一離脱過程の性
質か ら 現 ⑦ を知 った な らば,時 点 ∫以後 の過程 は確率 の意味
で時 点 ∫までの経 過 には独立 で あ るか らこの確率過 程はMarkov
過程3)で あ る。 さ らに体 系が 温度 平衡 にあ る とい うことか らこの
吸着一離脱過 程 は時間的 にいち よ うなMarkov過 程4)で ある・
この よ うに 単分 子層 吸着一離脱 過程 を 確率過 程 として取 り扱 う
な らば,時 点 渉にお け る吸着 分子数 が ハら,気 相 中の分子数が1V8
であ る とき(瓦+1V8-1>6-一 定)3つ ぎの時 間間隔(',≠+」 の
内 に ノV8個 の 気体 分子 の うちいず れか 一・つが(ハ な・瓦)個 の吸
着 点 のいずれ か一 つ に吸 着 を起す推 移確 率P砺 →砺+1(4の は
λ1V8(NS一 瓦)dt+o(4彦)*1,
3) W. Feller, " An Introduction to Probability Theory and its Applications" p. 363 (1950) John Wiley & Sons Inc., New
York.
4) " ibid " p. 386.*1二 つまたはそれ以上の事象のおこる確率をo(dt)で 表わす. oはLandau
の紀弩である.