Spurio / Textbook Seminar

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Particles and Astrophysics / 3.1 - 3.5 Spurio / Textbook Seminar Masataka Miwa May 20, 2021 ICRR, The University of Tokyo

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Particles and Astrophysics / 3.1 - 3.5 Spurio / Textbook Seminar

Masataka Miwa May 20, 2021

ICRR, The University of Tokyo

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Outline

Chapter3直接的な宇宙線検出

Section3.1一般的な直接検出の方法

Section3.2熱量測定の技術

Section3.2.1ハドロン相互作用長と平均自由行程

Section3.2.2電磁放射長

Section3.2.3大気中のハドロン相互作用長と平均自由行程

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Outline

Chapter3直接的な宇宙線検出

Section3.3気球実験

Section3.4衛星実験

Section3.4.1IMP実験

Section3.4.2PAMELA実験

Section3.5ISSのAMS-02実験

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Chapter3直接的な宇宙線検出

宇宙線の化学組成→宇宙線中の陽子やより重い原子核の割合のこと

この化学組成を知ることは、宇宙線の起源や銀河内での伝搬を理解するために重要

宇宙線が大気に触れると空気シャワーを生成し、質量を調べることが難しくなる→大気に触れる前の一次宇宙線を直接観測する必要性

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Section3.1一般的な直接検出の方法約1Gevまでの低エネルギー領域

エネルギー(E),電荷(Z),質量(A)の同時測定

電荷と飛行時間(ToF)はdE/dx法で測定する

エネルギーの測定は難しい。通常は熱量計を使う→低エネルギー限定

Gev~1Tevの領域

磁気分光器やチェレンコフ検出器を用いてエネルギーの測定が可能

さらに高いエネルギー領域では遷移放射検出器も用いられる

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Section3.1一般的な直接検出の方法磁気分光器

ソレノイドコイルによる磁場発生

その中の追跡装置システムで宇宙線の硬さ(rigidity)を測定

粒子が十分に弧を描けず、直線上に見えるようになると検出不可能になる

積める装置の重さにより、測定の限界が決まる

気球実験では10~100GV,PAMELAでは1TV,AMS-02では2TV

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Section3.1一般的な直接検出の方法遷移放射検出器(TRD)

ローレンツ因子の測定→エネルギーの測定ができる

重いハドロン熱量計の代わりに使われる

Γの大きな粒子はX線を引き起こす確率が高い

の式より軽粒子と重粒子の区別が可能

屈折率の異なるいくつもの層からなる

Γ =E

mc2

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Section3.1一般的な直接検出の方法

リングイメージ型チェレンコフ検出器(RICH)

粒子の速度 を高精度で推定する

はチェレンコフ効果により生じる光子の形状パターンより

電荷が大きいと、光子の数も多くなる

β =νc

β

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Section3.2熱量測定の技術

気球や衛星に乗せるため、重量制限がある

熱量計に入った粒子の運動エネルギーにより、二次粒子による空気シャワー(陽子・電子・陽電子)が生成される

最終的には吸収物質が励起・イオン化されて終わる

p + N → π±, π0, K±, K0, p, n, . . .

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Section3.2.1ハドロン相互作用長と平均自由行程

原子核またはハドロンの相互作用長 は相互作用断面積と媒質の数密度に反比例する

[cm]

質量数を用いると以下のように書ける

[gcm-2]

断面積がエネルギーに依存せず、原子核の面積に比例すると考えると

,

λ

λ =1nσ

λI =ρnσ

=Amp

σ

σ = πR2 R ≃ RT + RP − ro

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Section3.2.1ハドロン相互作用長と平均自由行程

質量数 の原子核の断面積は

, cm

質量数 の媒質中の陽子の断面積は

A

RA = roA1/3 ro ≃ 1.2 × 10−13

A

σ ≃ π[roA1/3]2 = σppA2/3

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Section3.2.2電磁放射長カスケード中の電子と陽電子のエネルギー損失は以下の式で表せる

は吸収物質の励起・イオン化エネルギーによる損失

は制動放射により電子のエネルギーが1/eに減少するまでの長さで、物質によって異なる

−dEdX

≃ α(E) +EX0

α(E)

X0

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Section3.2.3大気中のハドロン相互作用長と平均自由行程

大気を媒質とすると

大気中の二次パイ中間子の平均自由行程は

重原子核については を用いて

,

σatm = 270 mb = 0.27 × 10−24 cm2

λI ≃ 85 g cm−2

λπI ≃ 120 g cm−2

σFe = πr2o(A2/3

Fe + A2/3Atm)

σFe

σp=

A2/3Fe + A2/3

Atm

A2/3Atm

= 3.5 λFeI = 24 g cm−2

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Section3.3気球実験

飛行継続時間と積載能力の向上により複雑で重い実験装置を運べるようになった→超伝導磁気分光器により反粒子を特定できるように

BESS,CAPRICE,HEAT

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Section3.3気球実験ATIC

程度のBGOを利用

600GeV

JACEE,RUNJOB

乳剤を用いた熱量計

2TeV以上の宇宙線測定

TRACER

シンチレーターとTRDから構成

高エネルギーの重粒子測定

CREAM

熱量計とTRDを共に使用

20X0

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Section3.4衛星実験Section3.4.1IMP実験

1963~1973年,100MeVまでの宇宙線を測定

Beの同位体の測定→宇宙線の年齢を知ることに重要

シリコン検出器(D1,D2,D3):粒子のエネルギー損失の測定

dE/dx法を利用して原子の種類・同位体を識別

実験では、加速器のデータから求まる値と比べて が少ない割合となった10Be

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Section3.4衛星実験Section3.4.2PAMELA実験

数百GeV領域までの反物質を調べることが主な目的

ToF,非同時システム,磁気分光器,S4,中性子検出器

ToF:0.3nsの分解能→1GeV/cまでは電子・陽電子と陽子・反陽子の識別可

磁気分光器:0.43Tの永久磁石とマイクロストリップシリコン追跡システムからなる→3μmの空間分解能,1TVまでrigidityを検出可能,Z=8まで測定可能

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Section3.5ISSのAMS-02実験ISSに取り付けられた装置で、大気圏外最大の検出器

反物質や暗黒物質の候補を探し、宇宙とその起源についての新しい情報を得る

6000個のNe-Fe-Bからなる非常に大きな永久磁石→1.5kgの磁場を発生

磁石内部を通過する粒子のrigidityを測定(2TVまで)

ToFシステム:0.15nsの精度で通過時間を測定、反物質の識別にも重要

TRD:陽子と電子の を測定

ECAL:高エネルギーの陽子・陽電子の識別,シャワーの形状(縦方向・横方向)を識別→ガンマ線の到来方向を知る

星位置追跡器:検出器の向きの測定

ACC:入射角の大きい粒子を除き、上下方向のもののみを残す

2011年から2013年で 個の宇宙線を観測

Γ

36.5 × 109

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まとめ宇宙線の起源や伝搬を理解するのに重要な化学組成を知るためには一次宇宙線の情報が重要→大気圏外で直接観測する必要がある

気球や衛星に検出器を載せて、様々な実験が行われている

気球実験:ATIC,JACEE,RUNJOB,TRACER,CREAM

衛星実験:IMP実験,PAMELA実験,AMS-02実験

それぞれの実験では様々な検出器が使われている

磁気分光器,TRD,RICH,カロリメーターなど